第五回『本の騎士』

イベント記録

2020年5月23日 ~グレン視点~

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正直信じられねぇが…びっくりしちまった話があったんで伝えとくぜ?
最近、ホエールって爺さんが店に顔を出しちゃ、『名声』を取り戻すっとか言って店に来てたやつらを連れちゃ海賊だのエクソダスだのの討伐に向かってたらしい。

ただ、この前は妙に慌てた様子で店に現れてよ。
大切な『本』を無くしてしまった。探すのを手伝ってもらうよう依頼して欲しいと頼んできやがったんだよ。

で、爺さんは無くした心当たりがある場所にそのまま向かっちまった訳だな。

爺さんから聞いた心当たりがある場所は3か所。
1か所目はペインテッドケイブス。原人洞窟だな。
2か所目はアイスダンジョンの奥深く。
3か所目はアンブラ近郊にある砂漠のピラミッドって話だった。

まぁ、探しに行った先で幽霊になっちまってお陀仏でも夢見がわりぃしな。店に来てたやつらに探しにいくよう頼んだってわけだ。

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アイスダンジョンと原人洞窟はかなり動き回ったらしいが中々爺さんは見つからなかったらしい。

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…が、ようやくマラスのピラミッドの地下で戦ってる爺さんを発見したらしい。えらく遠くまでうろついてたもんだぜ。

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「大切なものは見つかったのかい?」
そう問いかけたやつに爺さんは嬉しそうに一冊の本を見せた。
だがその本には何も書かれちゃいなかったそうだ。
正直、探しに行った奴らにとっちゃ肩透かしもいいところだよな。

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だが話はまだ続いた。
爺さんは黒熊亭に戻ってきた後、ライキュームにいるファン(俺の姪だな。)にさっきの本を渡しに行って欲しいと言ってきた。

「自分で渡しにはいかないのかい?」
そう問いかけた相手に爺さんは高らかに笑ってこう答えた。

「吾輩は渡せぬのだよ! はっはっはっは!」
そう叫んだ瞬間、爺さんの体は煙に包まれて、本の中へ吸い込まれちまったらしい。

いや、マジの話だぜ?


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爺さんが消えちまった後、机の上には一冊の本だけが残されちまった。
本のタイトルは『ドンキ・ホエール』…驚いたことにさっきまで白紙だった本にはいつの間にか、物語みてーな話が浮かび上がってたらしい。

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とりあえずライキュームにいるファンに会いに行ったところ、本を受け取ったファンは「ああ、なるほど」と納得したような顔で話し始めた。

ファンが言うには、この本『ドンキ・ホエール』は魔法の本。本の内容が飽きられたり、古くなることで読まれなくなったとき、本の中から主人公である騎士ホエールが飛び出してくる。そして彼は新たな冒険を繰り広げた後、再び本の中に戻る。その時、本には新たな冒険譚が記載されるというものらしい。

本はライキュームに遥か昔から保管されており、ファンは最近、ホコリを被った、その本を倉庫で見つけていた。そして本から出たホエールに黒熊亭の冒険者たちのことを伝えたそうだ。

ファンは俺の店にその本を持ってきてこう言った。

「この本はいつまでも誰かに読まれたいんすよ。だからしばらく置いといてほしいっす。」

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…ってわけでその本は今は店に置かれちまってるってわけだ。
何か幽霊本みてーでちょいと気味がわりぃがしょうがねぇな。

やれやれ。

(完)

  • 最終更新:2020-05-25 01:30:29

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