第三回『アネットの真実』

イベント記録

2020年3月12日

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デシートの入り口で目覚めた冒険者たち。彼らの前には既にアネットの姿はなかった。
彼女を探し始めようとした冒険者たちの前に黒熊亭の店主グレンが姿を見せた。

「あー、さみーな。」
薄着で寒がるグレンは冒険者たちを見て、ようやく見つけたぜ、と話し始めた。

何でもアネットが今朝、ふらっと店に現れて、冒険者たちを迎えに行って欲しいと頼んできたそうだ。彼女は一人リコールで戻ったということだろうか?

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不思議がる冒険者たちをグレンは島の西に停泊されていた小船へと案内した。来るときにアネットが使用していた小さな船だ。グレンがこの島にリコールで飛んできたときには既に誰もいない無人の状態で停泊されていたらしい。

船に乗り込んだ冒険者たちに、グレンは船のハッチを開き、一つの箱を取り出した。それはデシートの奥深くで冒険者たちが手に入れた箱だった。

箱の中には1冊の手紙、そして依頼金、ペンダントが残されていた。

手紙にはこう書かれていた。

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「このペンダントをムーングロウで天体学を勉強しているラングレーっていうやつに渡して欲しい」と。

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冒険者たちはムーングロウへと船を出航させた。

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ムーングロウへ辿り着き、グレンと別れた冒険者たちは天体望遠鏡の下へと向かっていった。

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ムーングロウの巨大な天体望遠鏡、その近くで一人の青年がいた。
ラングレーであるかを確認したところ、彼はそうだと答えた。

冒険者たちがアネットとデシートへ向かったこと、そして、そこで手に入れたペンダントを彼に渡すように言われた、ということを伝えたところ、彼はひどく驚き、ペンダントを手に取った。

彼は冒険者たちから、アネットの姿形を聞いた後、そのアネットが自分の知っているアネットであることを確信し、ゆっくりと話し始めた。

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「そんな…ありえませんよ。彼女はもう2か月も前にここムーングロウで亡くなっているのですから…」

驚く冒険者たちに彼は話をつづけた。

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ラングレーはアネットとはベスパーで共に生まれ育った幼馴染だった。
今から10年ほど前、アネットはトレジャーハンターになると言って、ベスパーを小さな船で旅立った。その出航の時、ラングレーは行商人から買ったペンダントをアネットへと贈った。そのペンダントは安物だったが航海の安全を祈るお守りだった。

その後、アネットはいくつもの宝の地図を掘りあて、何十人もの部下を引き連れ、巨大な船に乗り世界を旅していた。

今から3か月前、好きだった天体学を学ぶためにムーングロウへ移り住んでいたラングレーの下に、彼女が姿を見せた。彼女は近くのデシートというダンジョンに向かう途中、この島に立ち寄ったとのことだった。ラングレーと彼女は久しぶりの美味しい酒を二人で飲みかわした。

翌朝、アネットはムーングロウを出航した。

それから数日後、数十人は乗っていたアネットの船がわずか数人ほどで戻ってきた。話を聞くと彼らはデシートの奥、隠し通路の先で大群のモンスターに襲われたという。アネットはどうにか一命を取り留めていたが既に意識のない瀕死の重体となっており、二度と目覚めることなく、数日後に息を引き取った。

話を終えた彼は、涙を流しながらペンダントを握りしめた。
冒険者たちは悲しむラングレーに、彼らと冒険をしていたアネットの姿を伝え、その大切なペンダントをラングレーに持っておいて欲しいと伝えた。それをきっとアネットさんも望んでいるから、と。

冒険者たちの前に現れたアネットが姿を消したのは、きっとかけがえのない宝物をもう一度見つけることが出来たからだろう。

(終)

  • 最終更新:2020-03-13 01:03:21

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